生成AIサービス導入事例山陽工業株式会社 様

専門家と二人三脚、現場発のDXで進める生成AI活用の第一歩

紙中心の業務からの脱却とDX推進を掲げ、生成AI活用に踏み出した広島県尾道市の「山陽工業株式会社」(以下、山陽工業)。NTTスマートコネクトの「生成AIサービス」を導入し、全社での活用に向けた取り組みを進めています。専任のIT担当者不在の中でも、現場主導で活用を広げる同社の実践は、中堅・中小企業における生成AI導入の現実的なアプローチを示しています。

インタビュー写真
山陽工業株式会社 営業推進室 室長 川嶋新平氏(左)、
NTT西日本ビジネスフロント株式会社 中国営業推進担当 DXコンサルグループ コンサルSE 川﨑慎也氏

“昭和型”業務からの脱却とDX推進

1950年創業の山陽工業は、パイプ・バルブなど配管資材・住設機器の専門商社、空調衛生工事、ホテルの3本柱で事業を展開。従業員数は約280名、過去5年の売上高は右肩上がりで順調に推移しており、尾道市の有力企業として地域社会の発展に貢献しています。

創業75周年を機に、同社は本社の建て替えを実施。2026年4月から新社屋の運用がスタートしました。このタイミングにあわせて取り組んだのが全社DXの推進です。その背景について、社長の直下でDXをリードする川嶋氏はこう話します。

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山陽工業株式会社 営業推進室室長 川嶋新平氏

「いわゆる“昭和型”の会社で、社内業務は長年にわたり紙ベースが中心。システムも継ぎ足しで運用されてきました。倉庫の在庫も現地に行かなければ分からないなど、業務の非効率が課題となっていました。こうした状況を受け、本社建て替えを契機に基幹システムの刷新がスタート。QRコードを活用した在庫管理や、電話対応と連動した情報参照など、現場と事務をつなぐ仕組みづくりを進めています」(川嶋氏)

基幹システム刷新は既存のシステム会社に一任しましたが、この流れで浮上したのが生成AIの活用です。

「社長が他社の事例を聞いて関心を持ったことがきっかけでした。生成AIが話題になり始めたタイミングでもあり、まずは触ってみようと。そこで折りよくNTT西日本ビジネスフロント(以下、NTTBF)から提案をいただき、具体的な検討を開始しました」(川嶋氏)

“まず使えること”と安心して使える環境を重視

生成AI導入にあたり山陽工業が重視したのは、「難しくないこと」と「安全に使えること」でした。IT専任部門を持たない同社では、社員のITリテラシーにもばらつきがあります。そのため、特定業務に特化した高度なツールではなく、誰でも使える汎用的なサービスが求められました。

NTTBFの川﨑氏は、「まずは広く浅く使える環境から始めるべき」との考えから、ブラウザで利用できる「生成AIサービス」を提案。業務アプリと連携する形ではなく、独立したツールとして導入することでハードルを下げる設計としました。

加えて、NTTグループならではのセキュリティ面も重要な判断材料となりました。外部サービスとの接続に慎重だった山陽工業にとって、「社内情報が外に出ない環境で安全に使えるかどうか」は大きな論点でした。そうした条件を満たしつつ、コスト面でも無理なく導入できる点が評価され、採用に至りました。

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NTT西日本ビジネスフロント株式会社 中国営業推進担当 DXコンサルグループ コンサルSE 川﨑慎也氏

「NTTBFの信頼性や安全性は大きかったですね。いきなり大きなコストをかけるのはリスクがあるため、ローコスト・ローリスクで始めることも念頭に置きました。予算面も含めて、無理のない形で導入しています」(川嶋氏)

それ以上の決め手となったのが、ツール単体ではなく二人三脚の“伴走支援”がある点でした。今回、山陽工業が契約したのはNTTBFが提供する「DXコンサルwith」。現状把握からDX戦略策定、実装支援に至るまでの包括的な伴走型コンサルティングであり、きめ細やかなサポートは数多くの中堅・中小企業から高い評価を得ています。

「こうした取り組みではツールを入れて終わりになりがちですが、それでは意味がありません。継続的に活用し、やがては自走することを前提に、将来を見据えて投資する必要があります。その点を踏まえると、専門家に伴走してもらえる『DXコンサルwith』はまさに理想の形であり、非常に心強いプログラムでした」(川嶋氏)

日常業務で気軽に使えるテンプレートを入口に

2025年秋から始まった「DXコンサルwith」の支援は月1回(基本120分)/全6回の内容です。「DXコンサルwith」での生成AI活用は初ケースということもあり、NTTスマートコネクトにも相談しながら、山陽工業に合わせたカリキュラムを組んでいきました。

導入にあたっては、いきなり業務に組み込むのではなく、幹部層への説明からスタートして生成AIの基本的な理解を共有。その後にテンプレートを整備し、段階的に誰でも使える形で展開してきました。川﨑氏は二人三脚の準備過程をこう振り返ります。

「当初から一緒に作っていく形でした。ITリテラシーが高くない人でも使えるように、まずは汎用的なプロンプトを用意しようという話になり、川嶋さんからもその要望をいただきました。そのため初期段階として使いやすいプロンプトを一緒に整備していく取り組みからスタートしました」(川﨑氏)

その結果、用途ごとに10種類ほどのテンプレートが完成しました。具体的には、メール作成、文章要約、誤字脱字チェック、情報収集といった日常業務を支援する用途から活用を開始しています。さらに社内規程やFAQを読み込ませ、社内問い合わせに対応する仕組みも構築。これらを支援する際に、ユーザーの利用促進を促すためにテンプレートの利用方法に関する動画作成支援も行いました。従来は分散していた情報を一元的に参照できる環境が整いつつあります。

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今回は新社屋の引っ越し真っ只中に取材に伺いました

利用状況を見ると、導入初期は利用者が増加し、その後は一部のコアユーザーが継続的に活用する踊り場に移行しています。現在は全体の1割程度が日常的に利用している状況です。この結果について川嶋氏は次のように述べます。

「もちろん最終的には全社員で使うことを前提にしていますが、まずはとにかく生成AIに触れてもらうことから始めました。ガラケーからスマホに移行したときのように、最初は戸惑いがあっても、いずれ当たり前になるものだと考えています。今は生成AIの過渡期なので、苦手意識を持たず、少しでも便利さや効率化を実感してもらうことが一番の狙いです」(川嶋氏)

密な伴走型で“定着”を目指す次のステップ

「DXコンサルwith」の第一期を終え、続く第二期では活用を全社に拡大する施策を加速していきます。とくに総務や経理など、バックオフィス部門での活用が鍵を握ります。

そのため今後は、部署ごとに具体的な活用方法を検討する相談会の実施や、事例共有による横展開を進める方針です。

「興味はあるものの『実際どう使えるのか』『セキュリティは大丈夫なのか』といった不安もまだ残っています。社員への浸透を図るために、動画講習なども実施してもらいました。川﨑さんがAIとやり取りする様子を見て、『こうやって対話するんですね』と理解してもらえたのが印象的でした。先日は川﨑さんに事務担当の女性と直接話してもらい、『こういう使い方ができそうですね』という具体的な手応えも出てきました。『DXコンサルwith』は現場に入り込んで一緒に考えてもらえる支援が特徴で、相談しやすい点も大きいです」(川嶋氏)

一方で生成AIは日進月歩で進化しており、LLM(大規模言語モデル)もアップデートを続けています。「生成AIサービス」にもプロンプトジェネレーター(プロンプト自動生成機能)や業務に応じて利用するサンプルテンプレートが実装されるなど、活用の幅はますます広がってきました。「だからこそ時代にあわせて変わっていく必要がある」と川嶋氏。そのうえで、このように締めくくりました。

「建物や仕組みだけ整えても『仏作って魂入れず』になってしまうので、中で働く人間が成長していくことが大切です。生成AIも使い方のコツさえつかめば、ほかのテクノロジーに応用が利きます。いわば学び方そのものを身につけることが大事で、その姿勢が社内に根付けばいい。会社の行動指針に“変化はチャンス、停滞はマイナス~今のままで良いと思う心が後退の始まり。変化を味方に付けよう~”という考えがあるように、前向きに捉えてどんどんチャレンジしていきたいと思っています」(川嶋氏)

紙中心の業務からの脱却と、生成AIの活用。その両輪で進む山陽工業の取り組みは、現場主導のDXのあり方を示す一例といえるでしょう。これからもNTTスマートコネクトは生成AIサービスを通じて、“次のフェーズ”へのステップアップをサポートしていきます。

※当記事に記載されている内容は、2026年6月現在のものです。

法人向け 生成AIサービス紹介動画(約5分)