エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社様の導入事例

SCP(SmartConnect Cloud Platform)サービスへの完全移行により
国内最大級の電子書籍配信サイト「コミックシーモア」の安定運用を実現

エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社(以下、NTTソルマーレ)様は、「エンターテイメントを通じ人の心を豊かにする」ことを目標とし、国内最大級の電子書籍サービスのひとつである「コミックシーモア」の運営、オリジナルブランド「ソルマーレ編集部」によるコミック制作、恋愛ゲーム「Shall we date?シリーズ」「Moe! Ninja Girls」、声劇ライブ配信サービス「ボイコネ」を中心としたエンターテイメントサービスを提供しています。
NTTソルマーレ公式サイト:https://www.nttsolmare.com/
コミックシーモア公式サイト:https://www.cmoa.jp/

エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社様の写真
NTTソルマーレ株式会社
電子書籍事業部 サービス開発グループ インフラ担当
(左から順番に)
西社員 簑田主査 炭田部長 東課長 木下社員 木野社員

NTTソルマーレ様が運営する「コミックシーモア」は、国内最大級の総合電子書籍配信サイトです。サービス開始から10周年を迎えた2014年、Webサイトのプラットフォームを「スマートコネクト VPS」を活用して刷新。さらなる飛躍に向け、2018年、SCPサービスへ 完全移行。さらに、クラウド クロス コネクト(以下、CXC) 、SmartConnect Network & Security (以下、N&S )の活用により、セキュアなネットワーク環境も実現しました。

コミックシーモア利用者の増加に伴い、さらなる安定運用が喫緊の課題に

「コミックシーモア」は2004年にサービス開始した電子書籍業界の老舗。ケータイ時代のコミック書店からスタートし、スマートフォン時代の総合電子書店へと、日本の電子書籍市場をマーケットリーダーとして切り拓いてきました。「コミックシーモア」のサービス開始日である8月16日は「電子コミックの日」にも認定されています。

サービス開始から10年を迎えた2014年。もともと使用していた他社クラウドで、柔軟にリソースの追加ができないなどの課題があり、それらを解決するために、Webサイトのプラットフォームをクラウドホスティングサービス「スマートコネクト VPS」を活用して刷新。数年は順調に運用できていたものの、導入から2~3年が経過した頃、ユーザーの増加に伴い新たな課題が発生しました。

インタビュー写真

左:NTTソルマーレ
  電子書籍事業部 サービス開発グループ
  インフラ担当 木下社員
右:NTTスマートコネクト 営業担当 加藤

システムエンジニアの木下氏が 、当時の状況を振り返ります。 「先ず旧基盤で問題だったのは、仮想マシンの増設にかかるリードタイムです。例えば利用者からのアクセスが増えると仮想マシンの追加や設定変更が必要なのですが、その都度、申し込み手続きやNTTスマートコネクト社での構築期間が必要で、急を要しているのにリソースが整うまでに約1週間のリードタイムがかかるなど、需要連動に合わせて、柔軟に仮想マシンを増設することができておりませんでした。次の問題として、共用基盤(論理的にお客さま専用の環境を提供する基盤)というVPSの特性上のものがありました。共用基盤ゆえに、他ユーザーの利用状況によってコミックシーモアの運用に影響が出てしまうことがしばしばあり、当時はアクセスが一時的に集中すると、コンテンツ表示の遅延などコミックシーモアのお客さまに迷惑がかかることも多々ありました。特にゴールデンウイークなどの繁忙期は、エンジニアとしても安心して過ごすことができませんでしたね。」

セキュリティ面、コスト管理面でも、専用基盤サービスならではのメリットが

VPSの性能向上による課題解決も模索されましたが、共用基盤の特性上、根本的な解決にはなかなか至りませんでした。
「そんな時、NTTスマートコネクト社の当時の担当者からは、『安定運用、納期短縮、コスト削減等の課題解決に向け、ハイパーコンバージドインフラを採用した最新の専用基盤 (物理的にもお客さま専用の環境を提供する)に更改しませんか』と、SCP Type-Hの導入をご提案いただき、総合的なコンサルティングもお任せして今に至ります。SCP Type-Hなら、仮想マシンを弊社で自由に設定・変更できるので、必要なときに必要なリソースをすぐに準備できる点にとても魅力を感じました。またソルマーレ専用の基盤なので、他ユーザーからの影響を一切受けず、セキュリティの観点でも安心感がありました。あとはコストの面がどうかというのが問題でした。これまでは仮想マシンが増えれば増えるほど仮想マシン単位で費用がかかっており、コスト削減のためににひとつのサーバーに複数機能を持たすなどしていました。一方でSCP Type-Hでは、コスト管理するのはあくまで基盤となる物理サーバーの単位であり非常にシンプルなもので、その基盤の物理サーバーのスペックを高性能化することで、その上位で格納できる仮想マシン台数を増やすことができ、結果的にコスト削減が実現しました。その際も、NTTスマートコネクト社の方々には管理がしやすい課金方法など弊社のニーズに合った提案をいただき、非常に満足しています。」と、木下氏は語ります。

インタビュー写真

NTTソルマーレ
電子書籍事業部 サービス開発グループ
インフラ担当の皆さま

SCP Type-Hの導入は、当時 NTTスマートコネクトにとっても初めての試みでした。その点について同じく木下氏は、次のように振り返ります。
「初めてで本当に対応できるのか、当初は不安もありました。ただ事前に『この構成やスペックだったら大丈夫だ』という検証や確認を両社で綿密に行っていたので、安心できましたね。移行も相当大変でしたが、既存VPSの運用状況や設備構成を詳細に把握していただいていたので、最適な移行方法を提案していただけたと思っています。課題管理表などで逐次管理を行い何度も打ち合わせを重ね、かなり親身に対応していただいたのを憶えています。本来であれば、1年以上かかるような移行工事だったと思いますが、実質3、4カ月程で完了し、特に問題も起こらず性能もかなり向上され、本当によかったと思います。」

セキュリティ強化に向けたネットワークサービスCXC、N&Sの導入

SCP Type-Hの導入後の成果について、同じくシステムエンジニアの木野氏はこう語ります。 「リードタイムの短縮や性能の向上などが想定以上の効果をもたらし、さらに年々増え続けていた費用は、年間3,000万円ものコストダウンを実現できました。セキュリティ面ではそれまでの共用基盤でブラックボックスになっていたところを、自分たちで設計・管理できるようになったのも良かった点です。もちろん、NTTスマートコネクト社の技術者のサポートもあったので、安心して運用ができていますね。また、クラウド型のセキュリティサービスである N&Sも新たに導入しました。コミックシーモアの利用者増加に伴い、不審な通信や攻撃の対象となるリスクが増える中で、N&SにあるWAFサービスを導入することで、セキュリティに特化した専門家チームによるSIEM分析、および、24時間365日のプロアクティブな保守監視が実現でき、非常にセキュリティ面の運用もかなり楽になっていると思います。」

インタビュー写真

NTTソルマーレ
電子書籍事業部 サービス開発グループ
インフラ担当  木野社員

さらにほぼ同時期に導入した、セキュアなプライベートネットワークを提供する「CXC」サービスにも大きなメリットがあった、と続けて木野氏は語ります 。 「AWS、GCPなどのパブリッククラウドには、従来はインターネットを介して接続していました。重要なデータの通信を行うときには暗号化しているとはいえ、やはり情報漏洩等の不安があるのですが、CXCを使うことでプライベートなネットワークとして接続することができるので、セキュリティ面で非常にありがたいですね。また速度面でも、 SCP Type-Hと、AWS・GCP間の通信をより安定して接続できるので、遅延の心配もありません。具体的な活用事例として、顧客データを活用する際にGCPの分析ツールを使って、“こういう利用者はこういう漫画が好き”といった傾向情報を基にキャンペーンなどの販促活動を行うのですが、CXCのおかげでほぼリアルタイムにAWSやGCPへデータを転送することができて、運用面で格段によくなったと思います。また、顧客データについては、セキュリティを担保した状態で通信できるのが大きな安心ですよね 。」

■サービス提供イメージ
サービスイメージ図
※アマゾン ウェブ サービス(AWS)とは、Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービスです。
”Amazon Web Services”、”アマゾン ウェブ サービス”、”AWS”は、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。
※Google Cloud Platform(GCP)はGoogle が提供するクラウドサービス群です。詳細は、「https://cloud.google.com/gcp/」をご確認ください。
Google 、Google Cloud Platform 、およびGCP は、Google LLC の登録商標または商標です。

更なる品質向上に向けた挑戦と連携強化に向けて

2019年のSCP Type-Hへの完全移行後、コロナ禍による在宅時間増加の影響もあり、コミックシーモアの利用者数はますます増加し続けています。システムエンジニアの西氏・簑田氏は笑顔で語ります。
「もし前の共用基盤のままだったら絶対に運営できていなかったよね、と社内のメンバーともよく話しています。本当にタイミングがよかったと思いますね。この急激な利用増でも対応がスムーズにできているのは、この基盤に変えたからという点は間違いないですね。NTTスマートコネクト社の方々にも、自社のサービスだけでなく他社との連携などのフォローもしていただけますし、コミックシーモアに合った提案もいただけるので何でも相談しています。変化の激しいWeb業界では、NTTスマートコネクト社のようなプライベートクラウドとAWSやGCP等のパブリッククラウドの使い分けが、今後ますます重要になってくると考えています。SCP Type-Hのようなプライベートクラウドには、重要なコンテンツの運用などセキュリティ要件にあったサービスや、負荷の予測がつくようなサービスに利用していくべきクラウド基盤だと思っています。一方で、パブリッククラウドはその手軽さから必要なときに必要なリソースをよりスピーディーに準備したり、最新の機能やツールを利用できたりする点においてメリットがあるので、用途に合わせてうまく使い分けていきたいですね。今後については、基盤性能の更なる向上やパブリッククラウドとのハイブリッド構成による可用性の向上など、基盤全体としての品質向上に一層取り組んでいく予定です。より良い読書体験を実現するためにも連携をますます強化して、これからもぜひ一緒に協力していければと思っています。」

インタビュー写真

NTTソルマーレ
電子書籍事業部 サービス開発グループ
インフラ担当
左:西社員
右:簑田主査

※当記事に記載されている内容は、2022年2月現在のものです。