×マラソン大会

42.195キロメートルの
マラソンコースの現在を
「いまどこ+」で直感的に把握

いぶすき菜の花マラソン大会実行委員会 様

いぶすき菜の花マラソン大会
副実行委員長(救護担当)
指宿海上ホテル 代表取締役社長
西 浩二 氏
いぶすき菜の花マラソン大会
救護担当AED班
NPO法人カトラ 理事長
江夏 理 氏

いぶすき菜の花マラソンは、日本で一番早い時期に開催されるフルマラソン陸連公認コースの市民マラソン大会であり、毎年1月の第2日曜日に開催されています。
コース沿いの黄色い絨毯を広げたような菜の花畑、九州最大の湖「池田湖」、薩摩富士とも称される「開聞岳」などの景観の中、市民総出での応援とおもてなしでランナーを励まします。
ランナー約18,000人、ボランティア約2,000人が参加する日本でも屈指のマラソン大会です。

本サービスは、株式会社ケイ・シー・シー様、NTT西日本様との3社協業ビジネスとして、株式会社ケイ・シー・シー様が 開発・運用し、当社がサービス提供しております。

導入の背景

悪天候で2,000名を超える
リタイアと
運営の混乱

『「いまどこ+」導入のきっかけは、2013年の前々回大会(第32回大会)でした』と、語るのはいぶすき菜の花マラソン大会の副実行委員長の西氏。

いぶすき菜の花マラソン大会は南九州の温暖な気候の中、マラソンに最適な気温のもと開催されてきました。
しかし前々回大会はスタート時から雨による荒天でした。その雨と風の影響による低体温でリタイアするランナーが続出。リタイアしたランナーを収容するバスはどれもいっぱい。続々とリタイアするランナーは収容バスに乗ることもできず、コース近くの公民館やビニールハウスの中で震えており、運営本部ではリタイアしたランナーが震えている様子を伝える電話が鳴りやまない状況でした。

「リタイアしたランナーをコース上から一刻も早く救出する必要がありました。リタイアしたランナーが低体温により体が硬直し、けいれんを起こしている状況を目の当たりにし、冬のマラソンがランナーにとって、こんなに過酷なものだと改めて認識しました。」と西氏は語ります。

採用のポイント

リアルタイムな
位置表示で
大会の
進行状況を即座に把握

その反省を受け、実行委員会で「収容・救護の効率化」に取り組みました。
収容・救護の効率化を図るため、いぶすき菜の花マラソン実行本部では救護本部の設置場所を変更しました。
これまで、スタートとゴール地点である陸上競技場に救護本部がありましたが、前回大会(第33回大会)からは指宿マラソンの周回コースを自転車のタイヤに見立てて、ハブとなる地点の近くの高校に救護本部を設置ました。これによりケガ等で救護が必要なランナーがコースのどの場所にいても、大会コースを通らず自動車で5分~10分で到着できるようになりました。また、救護本部を設置した高校の施設(体育館、武道館)を利用することで、マイクロバス等により収容したランナーが風雨を避けながら一次的に待機する場所を確保しました。そして、複数台の大型バスを用意し救護本部からスタート地点の陸上競技場へのピストン輸送を可能にしました。

そしてこの体制を効果的に運用するために、大会の進行、移動AED班の配置、リタイアするランナーを収容するバスの運行等の状況を運営本部や救護本部がしっかりと把握する仕組みが求められました。
その仕組みとして、いぶすき菜の花マラソン大会では前回大会からGPS専用端末を活用した位置表示が導入されたのです。
まず、採用されたのは移動AED班からでした。移動AED班はAEDを装備し自転車でランナーに合わせて移動し、限られたAEDを有効に運用するチームです。GPS導入前の前々回大会までは、「先頭と最後尾を走るランナーの地点を経験と勘で割り出しながら、ランナーの広がりに合わせてまんべんなく移動AED班を配置させるよう運用していました」と、救護AED班の江夏氏は語ります。最終ランナーのゴールまでの制限時間が8時間と長く初心者の参加も多い同大会では、ランナーの先頭と最後尾の幅は最大30キロにも及びます。この30キロの間で効率的に移動AED班を配置させることが必要です。
そのため「10数台の移動AED班のスタッフに対し、それぞれの移動AED班からの移動連絡、またこちらからの確認を適宜行うようにしていたため、「お互い話中」というジレンマに悩まされました。すぐに電話を取れないスタッフもいましたので、位置の確認は負荷のかかる作業でした。本当はスタッフの配置や救護の指示に集中したかった」と江夏氏は語ります。

GPS端末が採用された前回大会では、「GPSの情報を画面上に表示することで、移動AEDのおおよその位置が自動で表示され、即時に確認できるようになりました。スタッフの位置を確認するためだけの電話連絡が不要になり、スタッフ配置のコントロールと救護の指示に集中できるようになりました。GPSの導入は画期的な事だった」と江夏氏は語ります。

しかし同時にGPS専用端末での課題と更なる要望も見えてきました。
まず、GPS専用端末からの発信間隔が長く正確な位置が把握できなかったこと。当時5分間隔で発信されていましたが、「自転車・自動車を利用する移動AED班では5分間で1~2キロメートルは簡単に移動してしまいます。そのため、AEDが必要な時には、画面上に表示された移動AED班のスタッフがその場所にはいませんでした」と江夏氏。

また、大会を運営するための情報がそれぞれの班で独自に管理されていることも課題でした。移動AED班は画面上に表示されるようになりましたが、収容バスの運用を行う班では従来どおり電話連絡の後、地図に押しピンを刺し運用していました。「それぞれでは上手く運用してもらえていたと思うが、非常時を考えると我々運営本部のメンバーが画面をパッと見て即座に状況を把握できることが必要です」と西氏。
移動AEDだけではなく、リタイアしたランナーを収容し救護本部と行き来する車両等、大会の運営状況を把握するための情報を一つの画面で把握したいという要望が上がってきました。

「いまどこ+」では、画面上に移動AED班、収容バス、先頭車両など、それぞれわかりやすいアイコンで表示し、大会の運営の中で移動している車両等を一つの画面で直感的に把握可能です。今大会(第34回大会)では、「いまどこ+」の提案を受け、「GPSからの発信時間を短くできること」「移動AED以外も管理できること」を確認し採用を決定したと、西氏は語ります。

導入効果

「いまどこ+」のない運営は考えられない。

「いまどこ+」はアプリがインストールされたスマートフォンとそれぞれのアプリから発信される情報を画面上に表示します。

いぶすき菜の花マラソンでは、移動AED班(自転車および自動車)26台、リタイアしたランナーの収容バス10台を中心に、先頭車両、後方車両、その他関係車両の状況を把握するために利用しています。
画面で「いまどこ+」を確認すると、地図上にコースとそれぞれのアイコンが表示されます。このアイコンは、スマートフォンのアプリから発信された位置をリアルタイムに表示します。その発信間隔は5秒から5分の間で設定が可能です。今大会では、30秒おきに位置情報を発信し、5種類のアイコンで大会の進捗状況を表示しました。

「移動AED班の場所がリアルタイムにわかる安心感は大きい。いぶすき菜の花マラソンの救護を担当するようになって、5大会目ですが過去2大会でAEDを使用しています。また、私が担当する以前には1大会で3人にAEDを使用したこともありました。1万人規模のマラソン大会であれば、AEDの利用される事態が発生して当然だと思って運営すべきです。AEDは心臓が止まる前の痙攣している状態で使うものですが、そのような状態になれば可能な限り3~4分以内には使用したい、早ければ早いほど良いと言うものなので現地に駆け付けるスタッフの位置をリアルタイムに把握することは重要だ」と、江夏氏。

「いぶすき菜の花マラソンではレースの後半が海に面したコースとなります。レース前半の疲れと海からの風の影響でレース後半に救護を必要とする選手が増えます。ランナーの進み具合に合わせてコース前半に配置した収容バスや移動AEDをコースの後半部分に移動させることで、必要な機器の配置の密度を濃くして有効に配備ができるので非常に助かりました」また、「ランナーの進捗状況、移動AEDの配置状況、収容バスの運行状況を即座に把握することが可能になりました。
トラブルが発生した時のことを考えると、大会の運営側のメンバー誰が見ても全体像を即座に把握できる安心感は何事にも代えられません」と西氏。

また、『移動AED班からの移動連絡、またこちらからの確認を適宜電話にて行い、紙の地図に押しピンで位置を表示する仕組みでは、それぞれの車両なりの所在地を把握するのにかなりの時間を取られていましたが、今大会では「いまどこ+」で自動的に位置が表示されるため、移動AED班をどう動かすか、ランナーを収容するバスをどちらに向かわせるか等、判断の部分に力を集中してもらえるようになりました』と、西氏。

いぶすき菜の花マラソンの運営に「いまどこ+」はなくてはならないものになっています。

今後の展望

ランナーにも
「いまどこ+」を

今大会で、「いまどこ+」の活用に手ごたえを感じた西氏は「今後、台数と利用範囲を増やしたい」と語ります。状況を把握するために、救護車両、サービス車両、ドクターカーなど、「いまどこ+」を利用する対象範囲と台数を増やし効率的な大会運営を進める予定です。

また、『「いまどこ+」をランナーに持ってもらいたい』と、西氏、江夏氏ともに語ります。
『ランナーが持っている「いまどこ+」の情報を沿道で応援する家族や応援の人たちにスマートフォンで見ていただき、「もうすぐ前を通るよ」と盛り上がってもらいたい。さらに、遠方の友人に走っている様子を伝える等、ランナーと応援する人たち双方がさらに盛り上がっていける大会にしたい』と、「いまどこ+」に期待を寄せています。

当記事に記載されている内容は、2015年4月現在のものです。
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