[UTMの機能⑤]増え続けるスパムメールへの対策「アンチスパム」
ビジネスのコミュニケーションインフラとなっている電子メール。この電子メールで悩みの種となっているのが、膨大な量の迷惑メール、いわゆるスパムメールです。生産性の低下、通信コスト、リソースの消費などの損害があります。「アンチスパム」はスパムメール対策を目的としたソリューションです。アンチスパムはどのようにしてスパムメールを排除するのでしょうか。ここでは、スパムメールの目的やアンチスパムの仕組みについて解説します。
目次
スパムメールとは?その目的は?
2018年度の電気通信事業者10社を対象とした総務省の調査によると、電子メール全受信数に占める迷惑メール数の割合は約40%でした。1日に受信する約13億通の電子メールのうち、約5億通が迷惑メールだったのです。
迷惑メールのように、本人が要求しないにも関わらず一方的に送りつけられるメールを「スパムメール」と呼びます。「スパム」とは、米国の食品会社が販売している加工豚肉の缶詰の名前ですが、連呼する広告のしつこさから迷惑メールの総称になったようです。
このスパムメールは以下の目的で送信されてきます。
- 広告宣伝
- 出会い系・アダルト系サイトへの勧誘のメールが多くあります。副業紹介や情報商材などに関するメールもあります。
- 架空請求
- 完全な詐欺メールで、見覚えのないサイトから、突然情報料の請求が届いたりします。個人ばかりではなく、大手企業が多額の金銭を詐取された事件も発生しています。
- なりすまし(フィッシング)
- 正規の会社になりすまして、フィッシングサイトに誘導し、個人情報やクレジット情報を盗み取ろうとします。
- 参考:個人情報が釣られる?フィッシング詐欺に有効なセキュリティ対策
スパムメールによるビジネス上の損失
以前は、郵便受けに数多くのDMが届いていましたが、それが電子化されてスパムメールとなっています。送信する業者は郵送料が不要になり、一気に膨大な数のメールを送信できます。数万人に1人という極めて低い送信到達率でも、大変コストパフォーマンスのいい手段です。スパムメールによって以下のようなビジネス上の損失があります。
- 業務生産性の低下
- 受信したメールを、業務に必要なメールと迷惑メールに仕分ける時間が無駄となります。また、スパムによるネットワークの混雑により、長い応答時間が必要となり、事務処理の効率性が低下します。
- リソースの消費
- パソコンやメールサーバーのメールボックス容量を不当に占拠します。メールの受信データをバックアップしている場合は、スパムメールもバックアップされ、二重の消費になります。
- 通信コスト
- 膨大な数のスパムメールはネットワーク帯域を圧迫します。従量制で契約しているスマートフォンやタブレットの場合は、スパムメールの受信にコストが嵩むことになります。
ますます増加するスパムメールへの対策「アンチスパム」
こうしたスパムメールの対策が「アンチスパム」です。無差別に送られてくるスパムメールから個人や企業を守ります。アンチスパムは次のような方法でスパムメールを判断して、隔離します。
- 送信元サーバーから判断
- スパムメールが送られてくる送信元サーバーを登録し、振り分けます。
- 差出人アドレスで判断
- 差出人をデータベース化して処理します。通常のメールアドレスは「ホワイトリスト」として受信しますが、スパムメールは「ブラックリスト」に登録し振り分けます。
- メールのタイトルや本文の単語で判断
- スパムメールによく利用されているタイトルや文言で判断し、スパム判定します。
アンチスパムをどこに設置するか?
アンチスパムをどこに設置するかで次の3種類に分類されます。
- エンドポイント
- メールサーバーにアンチスパムソフトウェアをインストールし、スパムメールを隔離します。 ただし、メールサーバーに負荷がかかる上、スパムメールが社内ネットワークを流通し帯域を圧迫します。
- ゲートウェイ
- 企業の外と内の境界線にアンチスパムを設置します。社内ネットワークの帯域を圧迫することがありません。UTMはネットワークの境界線であるゲートウェイに置かれるため、アンチスパムがUTMの基本機能として搭載されるようになりました。UTMにアンチスパム機能を統合することで、コスト削減になり、統一された操作性で運用負荷も軽減できます。
- クラウド
- アンチスパムをクラウドサービスとして提供するサービスが増えています。これも社内ネットワークの帯域を圧迫することがありません。
ポイントまとめ
アンチスパムをUTMに統合
毎日膨大な数が送られてくるスパムメール。仕事の妨げになるだけではなく、サイバー攻撃の入口になる場合もあるので、アンチスパムはぜひ導入しましょう。他のサイバー攻撃対策とあわせてUTMを導入するのもオススメです。